Dis-fluency Symposium comment

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研究集会「より豊かな音声言語研究を求めて」

日時:2017年1月28日(土)11:00-17:10
場所:神戸大学国際文化学研究科 E棟401大会議室
http://www.kobe-u.ac.jp/guid/access/rokko/turukabuto-dai1.html

プログラム
10:30-受付
11:00-11:05 開会の辞
11:05-11:45 非流暢性とは:母語・外国語・言語障害の観点から
 阿栄娜(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
11:50-12:30 非流暢性をめぐるこれまでの日本語研究
 定延利之(神戸大学)
12:30-13:40 昼休み
13:40-14:50 非流暢性をめぐるこれからの研究:各言語の実態を踏まえて 司会:林良子(神戸大学)
 韓国語:康永富(慶煕大学)
 シンハラ語:ディルルクシ・ラトナーヤカ(ケラニア大学),ドゥリニ・ディルシャーラ・ジャャスーリヤ(京都大学院生),新井潤(カレル大学)
 タミル語:アントニサーミ・サガヤラージ(南山大学)
 トルコ語:アイシュヌール・テキメン(アンカラ大学),ナーゲハン・アヴダン(アンカラ大学院生)
 ハンガリー語:ショモディ・ユーリア(カーロリ・ガーシュパール・カルビン派大学),ユーディット・ヒダシ(ブタペスト商科大学),ヴィクトリア・エシュバッハ=サボー(チュービンゲン大学)
14:50-15:00 休憩
15:00-15:30 「わたしのちょっと面白い話」をめぐって
 定延利之(神戸大学)
15:30-16:10 Ethnophoneticsの挑戦1:「口をとがらせる」と「口をゆがめる」
 定延利之(神戸大学),朱春躍(神戸大学),林良子(神戸大学)
16:10-16:50 Ethnophoneticsの挑戦2:「かわいい売り子」の声
 定延利之(神戸大学),朱春躍(神戸大学),ドナ・エリクソン(金沢医科大学),ケリー・オバート(Vocal-Now!)
16:50-17:05 コメント:松田真希子(金沢大学)
17:05-17:10 閉会の辞

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<松田コメント>
日本語教育への示唆という観点でコメントしたいと思います。

定延先生の午前の発表で述べられていた
「日本語学習で目指されてるのはアナウンサーの発話
日本語学習者の非流暢を母語話者の非流暢に変えられないか。
そうすれば驚くほど流暢に聞こえるのではないか。
母語話者の非流暢性には規則性があるので、その規則性を解明し、教育に適用しよう。」
という考えに強く賛同します。以前嶋田先生と定延先生が60代日本人女性の非流暢な話を属性を隠して聞かせ、レベル判定させたところ、多くのテスターが「中級ー上級」判定だった。
これはアナウンサーの発話を目指していることの弊害と考えます。
アナウンサーやテレビの日本語ではなく、民間話芸をどんどん見せる必要があると思います。
そのためおもしろい話の動画はいろいろな日本語話者のマルチモーダルな特徴を学ぶのに非常に役に立つと思います。

特に自分はベトナム人日本語学習者の非流暢性について研究しているので、
今回のシンポジウムはいろいろな点で示唆的でした。
ベトナム人日本語学習者の非流暢性のひどさと、日本人の印象の悪さは
多くの日本語教師の中で共有されている問題だと思います。

どんな非流暢性かというと

とぎれが大量にでる
とぎれ語頭戻りも続行も多い。
フィラー「あむ」が大量に出る
モーラが伸び縮みして、等時性がたもたれない

などです。
これらの不自然な延伸やとぎれは日本語のモーラリズムをベトナム語の音節構造に持ち込むことで生じます。音節と音節の間を明確にするために声門閉鎖を多用するため、全体的に喉頭の緊張が強い発話になっています。ベトナム人のこれらの傾向は吃音者の非流暢性とかなり重なっているように感じました。そのため朝の発表にあった吃音者への研究や音声指導から多くの示唆が得られるように思います。

そして、今回、韓国語、ハンガリー語、トルコ語、シンハラ語の膠着語に属する言語の
つっかえの傾向を知ることができて、非常に興味深く感じました。
恐らく「途切れ・語頭戻り」は汎言語的なつっかえで、つっかえにおいて続行できることが膠着語の特性なのだろうと思いました。
今回登壇されている方々の日本語も興味深く聞かせていただきました。みなさまの日本語発話にも延伸や続行が見られたと思うし、空気啜りも興味深く聞きました。とても流暢な非流暢性だと感じました。
そのため、今後学習者に日本語らしい非流暢性をみにつけてもらうために、延伸続行方式を指導できるとよいと感じました。ベトナム人、中国人など膠着語以外の言語が母語の学習者、そして閉音節の言語の学習者に対して指導すると有効なのではないかと思います。
ただ、延伸は「自分がいいはじめている単語で、これでいいやと自信があるときは、そこでトラブルがあっても言語チャンネルを切らないので延伸になる。」と定延先生が示していたので、延伸続行方式は言語表現に自信がない日本語学習者にはかなりハードルの高いつっかえといえると思います。

また、
ベトナム人にいわせると、日本語の弛緩した言い方はだらだらしていて、キレが悪いらしいです。
ベトナム語的にいけてない話し方だと聞いています。
音節リズムの等時性が損なわれると気持ちが悪いといいます。
そのため「えー」のような長くのばす音のフィラーは生理的に苦手らしいです。
日本語の延伸や続行、フィラーの印象評定などをしてみる必要があるかもしれない。
音節リズムの学習者が日本語の非流暢性を心地よく感じられるためにはどうすればいいかも考えたいと思います。
例えば歌で慣れてもらう?

他にも日本語教育とは別の観点でコメントもあるが、時間も短いのでこれでおわります。

とぎれ・語頭もどり方式が起こる時には自信がある場合もあるのではないか。
素人がおもしろい話でかんでしまう時(カミカミになる)は、上手に言いたいあまりどもってしまう場合があるように思う(その際、吹き出し笑いと共に起こっている)自信はあるが、スムースにいおういおうと、先の方に意識がいってしまって、足元がからまるように、舌がからまる。
例えばちょっと面白い話「ずぼ・ずぼんに靴下」(吹き出し笑いをしながら言っている)
漫才師はどもらないし笑わない。のが象徴的。
延伸における自信の有無は漫才師や落語の話芸を見るとでるかも

英語話者とベトナム語話者のOPIでの語頭戻りを比較したことがある。突き上げ時においてベトナム語話者のほうが有意にとぎれ文頭戻りが多くなった。なぜか。英語のほうが長音が多いからか。

フロアと私の疑問・コメント
・膠着語仮説:空気啜りは膠着語の人に多いかもしれない。
・非流暢性と個人差。好きな非流暢性のタイプがあるかもしれない。
・漢語と固有語の問題 漢語は語頭戻りが多い?
・韓国語のコマ切れ発話のイントネーションのルールはどうなっているのか?
・とぎれと延伸の区別がはっきりしない
・どこからがつっかえで、どっからが吃音か
・神経言語学とつっかえの関係をみるのはおもしろい
・アルコールの影響によってどのくらい母語と外国語でつっかえがでるか
・品詞と非流暢性のタイプに関係がないのか
・開音節と閉音節で延伸か語頭戻りかが違うのでは?
・1分につきどのくらいでるか。100文につき何回でたか。100語と100形態素につき何回でたか
・PVIは関係あるか
・非流暢性にフィラーをどう組み込むか

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